2011年ヨーロッパ紀行 vol.25 |
グランド・プラージュの海岸沿いの砂浜から上がりオテル・デュ・パレの入口を探しぐるっと回り歩きました。
ようやく門があり、手前にレストランのコースメニューが出ていて車が出入りするのに警備員がいたので中にバーがあれば行ってみたい思いを伝えると中に通してくれ、緑が茂る中を進み素敵な外観のホテルの入口まで来ました。
扉を押してホテルへ入るとフロントがありバーへ行きたいと伝えると、ソファーなどの素敵な調度品があるロビーから広いサロンに案内して頂けました。
夜7時頃となりますが、まだまだ奥の海沿いの窓側は眩しい陽射しがサロンを照らしていて、生演奏のピアノが低く流れる中、海沿い側のテーブルではこれから食事となるお客様が離れ離れに座っていました。
入口から手前側にバーカウンターがありその近くのテーブルに案内され、ジントニックをオーダーしました。
照りつける陽射しを受けながら海沿いをかなり歩いたので喉が乾いていて、ホテルのスタイルで氷が入ったタンブラーにジンだけ注がれ置かれ、トニックウォーターは自分で入れるのですが、ジンの量も多かったのでシュウェップスのトニックウォーターを多めに注いで喉越しでジントニックを飲みました。
ジントニックと一緒にオリーブとマカダミアナッツ、スパイシーな豆が乗ったアテと薄いトーストに乗ったサーモンが付いてきました。
ゆったりとした空間に座るテーブルもホッとして居心地が良かったのですが、ジントニックを飲み干して来てくれたサービスの男性に出す用意をしていた自分の名刺と店の写真を渡し「良かったらカウンターに座らせて貰ってもいいですか?」と聞くと
「勿論!」
とカウンターに席を移して頂けました。
カウンターにはビシッと服も髪も極めたバーテンダーが2人いて、奥のテーブルでこれから食事をするお客様へシャンパンをグラスに注いでいます。
バーテンダーの手が空いたとこにサービスの男性が先程渡した僕の名刺と店の写真を渡してくれ、バーテンダーがそれを見て挨拶をしてくれ話をしました。
その後バーテンダーにサイドカーをオーダーして「記念に写真を撮ってもいいですか?」と聞くと
「勿論いくらでも」
と笑顔で返してくれました。
ストレーナーが付いてない大きなシェーカーにレモンジュース、コアントローを入れ、ブランデーを一度手に取ってから折角だからとマーテル・コルドンブルーに変えて、ベースとなるブランデーはかなりの量が入りました。
軽くシェークしてシェーカーを外しストレーナーをはめて大きなカクテルグラスに注ぎ、楊枝が2ヵ所刺さったチェリーが落とされました。
もっと強いのかと思ったのですが以外にも飲み口は良く美味しいサイドカーでした。
空腹で直ぐに食べてしまったサーモントーストをまたサービスして頂き、食前酒にシャンパンを注ぐのに忙しいバーテンダーが手が空けば目の前に来てくれて話をしてくれます。
バックバーの端にグランマルニエの旧い記念ボトルがあったのでバーテンダーにその話をするとバーテンダーが記念ボトルを持ってきてリキュールグラスに少し注ぎよかったらとサービスしていただいてしまいました。
オテル・デュ・パレでは1グラス幾らで出しているのか提供価格を知りたく聞くと40EUROで5千円弱となります。
中にいたもう1人のバーテンダーもシャンパンのサーブを終えて来てくれて、お勧めのカクテルがあると言うので是非飲んでみたいとなり創って頂くことになりました。
スペインでも飲んだハーブのパチャランリキュールを使ったカクテルでシェークしてグラスに注いでから何かを振りかけています。
出てきたカクテルは
「スパイシー・バスク」
というカクテルだそうでバスクの唐辛子が振りかけられていて、お願いして唐辛子を別のお皿に頂き舐めてみると最後に辛さがあるのですが旨味があって美味しかったです。
そのバスクの郷土料理には欠かせない唐辛子粉は現地で買ってきたので、帰国してからパチャランもあるので創ってもみました。
スパイシー・バスクを飲んでいるのをサービスの男性がカウンターに戻ってきて見て、バーテンダーに何のカクテルか聞いていて、バーテンダーも
「スパイシー・バスク」
と答えていたので、その続きは僕が彼に「パチャランとパイナップルジュース、クランベリージュースをシェークしてバスクのピメントペッパーを振りかける」と教えると、それをバーテンダーが聞いて
「その通り!よく見てたね」
と満面の笑顔を返してくれました。
バーテンダーだから材料含めメイキングを見てない感じでもさりげなくしっかり見るのは当然です。
そしてアテで出して頂いたバスクのチョリソーが細かく入ったマドレーヌがチョリソーの辛さとマドレーヌの甘みが絶妙に美味しく、甘さっぱりした中にピリッとした唐辛子が感じるカクテルと素晴らしいマリアージュで流石フランスと思いました♪
3杯を飲んでお会計をし、帰りにバーテンダーにコースターや名入りのマドラーを沢山お土産で頂いてしまい、最終日の明後日にまた来ると伝えホテルを出ました。
カクテルグラスが大きいのと飲み口がいいのにベースはかなり入っていたので歩き始めると酔いが回ってきました。
カクテルを創る行程や手順は違くても
“ベースをしっかり利かせてもバランス良く飲み口は優しく”
というカクテルのスタンスが自分のカクテルのコンセプトでもあるので、自らが体験して感じることもありました。
ほろ酔いが逆にテンションを上げホテルから出て歩き始めました。