2012年スコットランド紀行 vol.7 |
アイラ・フェスティバル期間は毎日各々の蒸留所が日替りに蒸留所内でお祭りを開催し、同時にその年のフェスティバル・ボトルも販売されることになります。
26日はラガブーリンの日で、ラガブーリンのフェスティバル・ボトルは出来の良さは勿論、本数も500本限定と少量の為、1人1本しか買えない決まりがあります。
トレーラーハウスから車を飛ばしボウモアを過ぎ、スコットランドで1番長い直線と言われる永遠と続く長い1本道を更に飛ばし、ポートエレンの港から4キロ東にあるラガブーリン蒸留所に10時に着くと、2012年フェスティバルボトルを買うのに並ぶ長蛇の列がもう出来ていました。
既に250人は並んでいる列の後ろに炎天下の焼き付ける太陽の下に並ぶこと2時間以上…
1歩1歩少しづつ進む中、バグパイパーの誇り高き音色がより気持ちを高めてくれました。
1人1人レジでお会計してボトルを受け取りの流れとなるので少しづつしか進まず、フェスティバルボトルを買える嬉しさを待つ人々の姿は、まるでディズニーランドで楽しみにアトラクションを待ち並ぶ姿を重ねて連想してしまいました。
人工3000人に満たないアイラ島に世界からウイスキー・ラヴァーがフェスティバルに向けて集まり、それに魅了された人は次の年にまたフェスティバルに来るためにホテルの予約もして帰る為、中々ホテルが取れないという状況が列を見て感じました。
バックバーに並ぶボトルを見ても1本のウイスキーを買うための困難は見えませんが、その位時間と労力をかけて入手したボトルとなるので注ぐ1杯1杯にも気持ちはより入ります。
旅ではそのようにボトルを買うことは少しでも多くのお客様に素晴らしさを知っていただく為に大きな任務となりますが、それだけでなくその土地の風土や文化、歴史を感じてくることが、1杯のウイスキーを注ぐ中により気持ちが込められると思っています。
その思いに加え、1本のウイスキーを買う為にこんな並んだ経験は今まで無かったので、これも大きな経験となりました。
ウイスキーをようやく買い、満足感と疲れが交差する気持ちでショップを出ると…、まだまだ人は並んでいました。
そして2012年ラガブーリン・フェスティバル・ボトルはこの日1日で勿論完売となったようでした。
ラガブーリンには次の日も朝から向かい、蒸留所見学ツアーに参加する前に蒸留所を囲む小さな入り江を散策しました。
入り江の先端にはダンイヴェック城の廃墟があり、外壁の石を猿のように1人よじ登り(笑)、てっぺんから素晴らしい絶景の入り江を見渡しました。
この日は風が強く石造りの廃墟のてっぺんで体が揺れて背筋がぞっとしましたが、海側を見渡しながら佇んでしまうゆったりとした時間でした。
ラガブーリンのラベルに書かれている名言
“歳月は情熱の炎を消し去り、温もりに変える”
の暖かみが、大自然に囲まれたバックの風景から伝わってくる瞬間でもありました。
ダンイヴェック城廃墟を足元に注意しながら下りましたが、上りより下りは真下の海に足を滑らしたら落ちてしまうと恐怖感が増しました。
無事に下りて入り江沿いを歩き蒸留所に向かい、蒸留所の桟橋での1枚と
桟橋から見るダンイヴェック城の廃墟です。
ラガブーリンの文字が書かれた外壁は焼き付ける陽射しで眩しいほどに海沿いでオーラを放ち、暑い気温がより潮風を強く感じさせてくれました。
ラガブーリンとその風土に接して、より1杯に注ぐ愛情が増しました。