SMITH WOODHOUSE CRUSTED PORT BOTTLED1988 |
先日ご紹介のマデイラワインはフランス資本が多く占めますが、ポートワインはイギリス資本が多くを占めます。
一昨年ポルトの町に訪れて感じられたよう、大航海時代にイギリスとポルトガルが物々交換していた歴史に遡ることになります。
今回は英国資本の「スミス・ウッドハウス」から、現在流通が少ないクラステッド・ポートを開封したのもあり、ポートワインについて簡単にご紹介致します。
ポルトガル北部のドウロ川流域でつくられる酒精強化ワインで、ポルト港で貯蔵、船積みされることから“ポート”の語源がきています。
ポートの製法は、17世紀の後半、イギリスに向けて輸出されたワインが、航海中に酒質を損なわないためにワインに少量のブランデーを加えていたことがヒントで、発酵中にブランデーを加える独自な方法が生み出されたと伝えられています。
ポート製造に使われるブドウは、赤のティンタ・フランシスカ、白のマルバジアなどで、強烈な太陽と乾燥した気候の下で育ったブドウを完熟するまで木において、糖分を30%位まで上げ、これをつぶして果皮とともに発酵させ、糖分が半分ぐらいに減ったところでブランデーを添加して発酵を止め、絞って上澄み液を集めます。
この液は発酵中果皮から色素が溶出して色はルビー色、アルコール分は19~20%、糖分は10~15%となります。
ポートの種類には、美しいルビー色で、4~5年熟成させた普及品のルビーポート、ルビーポートをさらに黄茶色まで熟成させたタウニーポート、同じ年に収穫したものだけを貯蔵熟成させた中で品質のよいものを選んだビンテージポート、わりあいよくできた年のものを早く瓶詰めして熟成させたクラステッド・ポート、ビンテージポートをさらに10~15年間熟成させた高級もののレイト・ボトルド・ビンテージポートとカテゴリー分けされます。
澱が出るのがヴィンテージポートとクラステッドポートです。
今回のクラステッド・ポートはボトリングが1988年、それからの瓶熟と、いい枯れ感が心地よく馴染んだ味わいです。
中々日本でも流通が少ないクラステッドポート、この機会に是非お試しください。