2018年 11月 08日
コニャックとシェリーブランデーの水との相性を検証 |
先日「Sherry Museum」中瀬さんにコニャックをお出しさせていただいた際に、シェリーブランデーの場合はチェイサーの水を飲んだ後に飲んでもエグ味とならないお話をいただき、自分の中で検証や予習を行い、昨日の定休日はシェリーミュージアムさんを訪ねました。
自家生産系(プロプリエテール)コニャックを飲む際にチェイサーの水を飲むと、この後に飲むコニャックがエグ味となってしまい味わいが壊れます。
(大手メーカーのコニャックは製法過程が違うため、今回は小さな自家生産系コニャックの話となります。)
簡潔にまとめると、コニャックの香りを決定的に出すエステルはアルコールには溶ける反面、水には溶けないのでチェイサーによりエグ味に繋がってしまうからと思ってました。
コニャックを造る際、香味を閉じ込め菌を抑制する酸の高いブドウを使うのでエステルが生まれやすく、コニャックの持つ脂肪酸×アルコールのエステルは、コニャックらしい果実の香りへと導かれます。
1つ目に思ったのはシェリーブランデーに使われるアイレン種、パロミノ種などは、コニャックで主流となるユニ・ブラン種に比べ糖度が高く、そのためにアルコール度数が高くなる点。
2つ目はコニャックは熟成に最初は新樽を使う点。
ブドウを発酵する際に生まれる脂肪酸が樽熟成中に酸化し、エステルと融合して、これも中瀬さんと話となった貴熟香“ランシオ”になりますが、コニャックの場合は蒸留後に新樽に入れて先ず熟成させることが大きな点と思います。
新樽、特にコニャックで主流となるリムーザンオークは目が荒いため、タンニンの抽出が高くなり液体変化によりランシオが出やすくなりますが、タンニンが多すぎてもブドウ感が消されてしまうので、その後古樽に移すこともコニャックのエレガントな芳香が出る特徴ではないでしょうか。
リムーザン産新樽によるタンニンも水とのエグ味に連結します。
ランシオについてですが、コニャックの持つ脂肪酸、エステルがあってこそランシオが生まれると感じますが、コニャック「フランソワ・ヴォワイエ」を訪ねた際に、マスターブレンダーが目の前でメスシリンダーで若いコニャックに長期熟成コニャックを測り、ブレンドして創り出すランシオのトリックを披露してくれたのは色々なことを気づかせてくれました。
3つ目は加水方法の点。
自家生産系コニャックではボトリング前に加水(浸透水や蒸留水)をすると前途のことからも余韻にエグ味が出てしまうため、各家により方法が違いますが色々なやり方で度数を落としていきます。
70〜72度の原酒を新樽に入れる際に加水して60度なり64度に落としてたり、新樽から古樽に移す際に加水したり、フェーブル(蒸留水とコニャックを混ぜ合わせ、何十年か大きな樽のトノーに寝かせたアルコール度数15度くらいの液体)を少しずつ加えてアルコール度数を下げていったり、湿度の違う貯蔵庫の樽移動をしながらと…早めの段階で加水をすることで、コニャックと水の分子がゆっくりと融合してエグ味が消えていきます。
とにかく瓶詰前の加水が味わいを壊すために色々なやり方で度数を落としていきます。
シェリーブランデーの加水方法はまだ認識してませんが、新樽でなくオロロソやペドロヒメネスの空樽を使うのは決定的な違いかと。
また、アルコール度数が36度くらいと低い点も水との相性の悪さを感じない点でもありました。
中瀬さんのブログでのシェリーブランデーとコニャックの違い
に加え、前記のことを頭に置きながらシェリーブランデーを飲ませていただき、一杯一杯に向き合う時間から沢山勉強になりました。
そして、今回また出てきたまた疑問点を自分なりに突き詰めていきたいと思います。
シェリーミュージアムさんで有意義な時間をいただきました。
もちろんシェリーもいただきました。
波乗りから帰った後だったのでマンサニージャからスタート。
ランシオのソトロン成分について興味のあったDE MULLER SOLERA DON JUNCOSA 1939 RANCIO SECO とJ.SALLA VINO RANCIO の飲み比べはとても面白かったです。
飲み終わった後のグラスを手で温めると成分がよく分かりました。
また、前回お邪魔した際にタパスにかける自家製ハリサに胸が踊り、今日は事前に予約していました。
by doras.nakamori
| 2018-11-08 11:59
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