3月に入り、緊急事態宣言下では現在3月7日までを予定して20時迄の営業(LO19時)をしておりますが(開店時間は平日17時より、土日祝15時より)、8日以降に関しては状況により決定したいと思います。
今回の自家製生チョコレートの仕込みでドライオレンジを貴腐ワイン漬けにしていました。
お寿司でいえば江戸前の“漬け”です。
前回抜栓したソーテルヌ「
シャトー・スデュイロー2002」で漬け込みしてました。56%のクーベルチュールに“漬け”を投入。
生クリームを火にかけコリアンダーとナツメグをプレミックスし、チョコレートとお互いの温度を大切に合わせていきます。
混ぜ合わせながら、温度が40度を切るくらいから500gのクーベルチュールに対して125ccのお酒を投入します。
今回はドライオレンジで貴腐ワインを漬け込んでいるので投入するお酒は100ccにしました。
投入したお酒はコニャック「ポール・ジロー」のオー・ド・ヴィー2007。
こちらの商品は2度の蒸留を終えた70〜72度の原酒(ニュー・メイク・スピリッツ)に加水して50度に調整されていますが、蒸留所に行かないと中々飲むことができない原酒を感じられます。
何度かに分けてオード・ヴィーを投入し、温度が30度を切るくらいにセルクルに流し込んで冷やします。
お酒がたっぷり入り固まるギリギリを攻めます。
カットして、
ココアパウダーでコーティングして完成です。
生チョコ作りは毎回テーマを変えて計50作品を超えましたが、食べるカクテル生チョコレートといった感じのバーならではのバーチョコです。
提供する一杯の味わいを増幅させるため、またシガーをより美味しくし、それにより一杯の味わいに相乗効果を生む目的で創作しています。
フライパンでクルミをバターで炒りシナモン&砂糖付けにしていますが、口にするとシガーがより美味しくなり、コニャックにも相乗効果を生みます。
ナッツ類もそのままでなく、ひと手間かけた江戸前の仕事です。
自家製羊羹は、
口内の水分が拭われ、その中にシャルトリューズが香り糖分を抑えた繊細な餡子により口内に糖コーティングができるため、コニャックをより美味しく飲むことが出来ます。
江戸前の“詰め”では、フィグ(ドライイチジク)の赤ワインコンポート マスカルポーネ添えです。
シナモン香る赤ワインを煮詰めます。
ドライフルーツも自家製です。
現在はリンゴと
イチゴです。
フード類はすべてサービス品として、提供する一杯をより美味しく味わっていただくためにお出しします。
美味しいものを作るとか、お互いの味わいを引き立てるペアリングとかを目的としておりません。
提供する一杯が、より美味しくなればいいだけを考えております。
すべてはお客様に究極の一杯を提供するために必要な増幅装置です。
著書も同じ意味合いで、お読みいただく中で背景、その土地や人々の暮らしの香りを想像していただけたら、提供する一杯をより感じていただけるのではないかと思います。
「旅するバーテンダー」
「旅するバーテンダー2」
こちらもお読みいただきましたら幸いです。
BAR DORAS 中森保貴